2012年1月19日木曜日

こどものじかんのはなし


小学生の頃、遊んでいたテリトリーは意外と広い
...
東西南北
おそらく5キロ四方を
かけずり回っていたと思う…

僕が少年期(小1~中3)を過ごしたのは
高知の現在で言う「ひろめ市場」の辺りだ

ローカルな話で申し訳ないが
その辺りから北へ300メートルほど行くと

「高知女子大」がある

その当時の正式名称は
「高知女子短期大学」だったと思う

小学校低学年の頃
この場所には
“もののけ”が棲んでいた

しかも3匹

名前を
「どひん」「ちゃびん」「はげちゃびん」と言う…



どびんはちゃびんの使いっぱりしのような存在で
大して恐ろしくはない

こいつに出会ったら
モップで尻をしばかれる…
そういう妖怪だったと記憶している

ちょっと痛いだけだ…


しかし二度捕まると
ちゃびんのところに連れて行かれる…

これは
少々妖力のつよいヤツで厄介だ

恐ろしく響く声で怒鳴り
聴いたら鼓膜が破れる

そのあと
校内の廊下を
何回も何回も

雑巾がけさせられる…と言うのだ


勿論
ご想像の通り

いちばん最恐なのは
「はげちゃびん」だ

通常は
ちゃびんの雑巾がけを拒んだとき
ヤツのもとへ連れて行かれるのだが

油断すると
いきなり出くわす事もある…

ヤツの妖力は凄い!

何せ
あっという間に「丸坊主」にされ
頭をかじられると言うのだ…


そんな恐ろしい“もののけ”が棲む…と聞いて

好奇心旺盛な小学生が
じっとしていられる訳がない

ある日

女子大の裏手に住んでいた近森君と
探検に出かけた…


門は閉まっていたので
塀を乗り越え
トイレか何かの小窓から侵入した。

しん…と静まりかえった廊下

靴を履いていても
その廊下の冷たさが足に伝わる…

「この廊下を越えた辺りが“どびん”がおる場所やき…」

出来るだけ
足音をさせないように
忍び足で進む…

……



突然!
静寂を引き裂く怒号が辺りに響く!

「こぉうらぁー!まぁたうぉまえらぁーかぁー!」

僕は走った!
後ろを振り返る勇気などない…

間違いない
あれは“ちゃびん”の声や!

一目散に
何処をどう逃げたか?
近森君は無事なのか!?


いま
考えるに
げに恐ろしきは
子供の頃の想像力だ…


改めて
40年程経った今、
謝っておこう

「用務員のおじさん、ごめんなさい」




facebookより

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