2011年9月29日木曜日

想念のカタチ(千歳栄 著)


山形でお会いした
千歳建設の会長
千歳栄さんの著書を改めて読んでいます。

千歳栄さんは数寄屋建築や茶室造りの第一人者で、
日本各地に千歳さんが建てた茶室がたくさんあるそうです。

実のところ
この方にお会いするまで
全く…と言って良いほどそういった「日本の文化」には興味がなかった。
歴史好きを謳っているのに…随分と片手落ちでした。

少し抹香臭い話になりますが、
おそらく人生の半分以上を生きて
毎日の暮らしや仕事の中に少しずつ

侘びや寂
静寂な心や時間を求めるようになって来ています。
思い出す事も多くなって来る…

僕が少年期を過ごした昭和40年代
物事が移り変わり
古いものと
新しいものが混在し
大家族や
地元特有の行事や決まり事も
まだ、たくさんあって
今と比べて何かと不便でしたが
「生きている…」という事をもっと実感出来る時代でした。


あの頃と比べて
今は
全てが薄くなってしまいました。

人の姿の無い公園…
地域の行事には無頓着な町の人々

「個」を守り
利便性を追求する事に執着するあまり

大切な美しい心や文化
日常の所作を、
地域のつながりや
その特異性を
日本人は忘れつつあります。

信仰というものの土台は敬いと畏れ
自然界を含め自身や家族…そしてコミュニティに関わる全てに対する畏敬の念から発している…と
僕は思います。



時間は戻りませんし
便利さに慣れた僕たちは
なかなか
物のない暮らしには耐えられないかも知れません。
しかし
時間に追われ
走りに走って

既に
取り返しのつかない場所まで来た僕たちは
何処へ向かうのでしょうか?

この先々
何世代も
負の遺産の代償を
僕たちの子孫は
払い続けて行く事になるのです。


千歳さんは
自身の仕事や著作
活動を通じて
失われつつあるものを
再び繋ごうとしてらっしゃいます。

僕のような者にも
気さくに会って下さり
ご自身の経験や
端山信仰の話、
茶室造りについてのお話を沢山してくださいました。

何より
その静かで大きなお人柄に打たれます。

僕の事を「面白い男」と評して頂いたようで…

光栄です!
きっと
変わったヤツが来た…と思われた事でしょうね

音楽や
出会いを通じて
得たものを

僕も次代に繋がなければならないと
感じました。


ブログ アーカイブ